686 中井祐樹 そこで試合観戦のために上京していた兄と一緒に東大宮駅前にある葉山眼科に駆け込んでいる。 精密検査の必要があると診断され、大宮赤十字病院に回された。 佐山聡もすぐに病院に向かっている。 中井の兄から中井の右目は絶望的であることを聞いた。 そのとき、佐山はえも言われぬ暗い感情が体の奥底からわき上がってくるのを感じた。 中井という将来有望な格闘家の目を奪ってしまったのだ。 そこで佐山は中井の兄に「自分がここに来たことは伏せておいてください」と頼み、病院を後にした。 佐山のこの気遣いは裏目に出ることになった。 中井は佐山が病院にさえ来てくれなかったと思ったのだ。 〜 佐山は実行委員会の人間を呼びつけて、怒鳴り散らした。 なぜ、すぐに病院に連れていかなかったのか。 そしてなぜ準決勝、決勝をやらせたのか。 試合後、明らかに右目を損傷しているにもかかわらず、そのまま帰したのか─。 佐山の怒りは収まらなかった。 (・_・) 匿名さん2024/10/30 00:43