078 再生 その5 ロストウェルダムと名乗る案内人は、旅人に扉のカギを手渡した。 「サァドウゾ」 旅人がその鍵を使い中に入ろうとするが、差し込んだ鍵は左右どちらにも動かない。 再び、何度も試みるが全く回る気配がない。 「回らないぞ。」 旅人は案内人に尋ねると、彼は言った。 「アナタワニセモノノヨウデスネ」 「どういう意味だ?」 「タケルサンホンニンナラバ、コノカギデヒラクコトガデキルハズデス。」 「は?俺は主に直接、呼ばれてここまできたんだぞ、早く本物の鍵を渡せ!」 案内人が笛を吹くと、ライフルを構えた警備隊が現れ、あっという間に囲まれた。 倍満汁2024/07/21 13:071Vnp4JL71s2
090 >>78 再生 その6 「このまま偽物を野放しにしとくわけにはいかないわね。」 上の方から主らしき声が降ってきた。 「ほ、本物の鍵をくれぇぇ」 旅人はひざまづいて震えている。 「偽物さん、サヨウナラ。」 主の一声で一斉にライフルから緑色の液体が放たれる。 ブシャーーーッ! 液体を四方八方から浴びた旅人は、まるでマトリョーシカのように様々な顔を見せながら溶け出した。 タケルの顔から四角いロボットに変化し、何かを叫ぶようにスーツを着たサラリーマンに変化し、やがて爬虫類の一部となり、最後には茶色の塊となっていた。 その様子を案内人は悲しい顔で見つめていた。 倍満汁2024/07/21 22:43Vnp4JL71s2