137 再生 その8 黒い馬は蹄を鳴らし、部屋の中へ進んだ。ひとりの男を乗せて。 馬はゆっくりと部屋は沼化した部屋の中央まで進む。 案内人が言った。 「ソコワキケンデスヨ」 馬はわずかに足を取られたがそのまま進み続けた。 グワ、グワ、グワ、、、 気がつくとニセモノが沈んだ沼地は消え、そこは草原と化し、通気口から風が拭き始める。 そして、辺り一面、海辺の景色が映し出された。 匿名さん2024/08/10 08:20
138 再生 その9 心地よい潮風がどこからともなく吹いている。草原が波を打つ。 360度、見渡す限り穏やかな浜辺だ。 そして天から声が降る。 「さぁ、この光景をよーく脳裏に焼き付けておくのよ。」 すると、3Dの小屋の中から猿たちがワサワサと集まりだし、中央にいる黒伝馬に乗った旅人を見つけると一斉に頭の中に埋まっていたスマホ引っ張り出し、旅人に向けてかざし始めた。 旅人は少し驚いたが、手を振ったり微笑んだりとポーズを決めてみせた。 猿たちは、次々とかざしていたスマホを湯船のタオルのように頭の上に乗せだした。 彼らの頭の上では、ジュワーーッと肉が焼けるような音がし、湯気が湧き上がった。そしてスマホは再び頭の中に吸い込まれていった。 その一連の動作が終わると猿たちは満足そうに手を叩いた。 匿名さん2024/08/10 08:23
139 再生 その10 夕暮れ時、馬から降りた旅人が白く艶やかな貝殻から造られた笛を取り出し、どこかで聞き覚えのあるメロディーを奏でると、空の高いところから楕円形のゴンドラが降りてきた。 ゴンドラには言葉を失うほど美しい女性が立っていた。 彼女は歌い始めた。 ♪波の旋律であそぶ私の世界へようこそ ララララ〜♪ 目を覚ますと、彼女はステージにいた。 倍満汁2024/08/10 08:441Vnp4JL71s2