中居くん
示談してもなお刑事告訴される可能性は消えず

一般的に示談書には、その内容を第三者に口外することを禁止するいわゆる「口外禁止条項」が盛り込まれる

このような事件の場合、示談書の内容としては、加害者が事実関係を認めて一定の解決金を支払う代わりに、被害者はそれ以上の損害賠償請求を放棄することに加えて、刑事処罰を求めない「宥恕文言」を入れた条項を設けることが多いと思われる

なので、今ケースでも、示談書に
「刑事告訴しない」
などの宥恕文言が盛り込まれていたと仮定して論じる

結論からいえば、この場合であっても、女性は刑事告訴することができる

示談書は、被害者と加害者との二当事者間における民事上の効力が認められるにすぎない
これに対し刑事告訴権は、刑事訴訟法上、被害者に認められた権利であって、その法律関係は国家と被害者との間にある公法上のもの

刑事訴訟法上、告訴の取消しに関する規定があるにもかかわらず、告訴権の放棄について定めがないことからすれば、告訴権の放棄は認められないとされている(最高裁昭和37年6月26日決定、名古屋高裁昭和28年10月7日判決）