【青根温泉鰻と蟹の伝説】
昔々、三階滝に住んでいた大蟹が、何百年もの年月のあいだに体がとても大きくなってしまい、滝壺が窮屈になって近くの不動滝に移ることにしました。
でも、そこにはすでに大鰻が住んでいたのです。
大蟹は不動滝を手にいれるために大鰻に挑戦状を突き付けました。
大鰻は年老いていたので戦えません。そこで、漁師の力を借りようと綺麗な娘に姿を変えて里へと向かいました。
娘に化けた大鰻は若い漁師に不動滝の大鰻に力を貸して欲しいとお願いしました。
決戦の日、漁師は寝坊してしまいました。
あわてて里を出て漁師が「不動滝」に向かうと、大蟹がいるだけで大鰻はどこにもいません。
大鰻はすでに 大蟹に体を三つに切られ、天高く飛ばされてしまったのです。
「約束した時間に来ていたら 大鰻が負けることはなかったかもしれない。すまないことをした。」
漁師はおくれてしまった ことを後悔しました。
飛ばされた大鰻の頭は青根に、胴体は峩々温に、尾は遠刈田に落ちました。
それ以来、青根温泉は頭、我々温泉は胃腸、遠刈田温泉は足腰に効く湯が 湧き出るようになった、ということです。