296 仕事中エレベーターに乗り込む際、ふとエレベーター内の鏡を見た。鏡越しに自動ドアのセンサーを作業員さんが点検しているのが見えた。 4〜50代の白い作業着をきた眼鏡のおじさんが折り畳みの椅子に乗って作業をしていた。 (いつもの作業員さんは必ず三脚持ってくるのに、危ないな) そう思って振り返ったら誰もいなかった。 ただいつも綺麗に仕舞われている折り畳みの椅子は鏡越しで見た場所にそのまま置いてあった。 見てはいけないものを見た気がして、すぐに鏡を見ないようにエレベーターのドアを閉めた。 ただ扉が閉まるまでの間、ずっと視線を感じており、顔をあげたら目の前にいそうな気がしてたまらなかった。 ドアを閉めた途端に視線を感じなくなり、ホッとしたが、それ以降もその場所に来ると作業していたり彷徨っている感じがするようになった。 夜は時々ドア越しにノックしてくる。 死んでるのか生霊なのか、仕事に囚われているのか生業だったのか、私には分からなかった。 匿名さん2022/11/27 17:062