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エンタメのひろば36-4
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今度も、わたし(@◎@)とオレ( - )が
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『漫勉』
伊藤潤二
恐怖とエロス
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(・_・)
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蒼い時
母は、父にとって唯一無二の女ではなかった。
いや、正確に言えば、一瞬間、唯一の女だったのかもしれないが、心おきなく唯一の女に浸る権利を有してはいなかった。
父と母は、いわゆる法律的に認められた夫婦関係ではなかった。
父には、すでに家庭があり、子供もいた。
母を愛しはじめた時、父は母の父に「責任を持ってきちんとします」と言明したという。
だが、戸籍に書かれた娘たちの名前の上には、「認知」という二文字が置かれている。
母はそんな経緯を娘たちにはことさら報せようとはしなかった。
私がそのことを知ったのは、高校へ入学してすぐだった。
すでにその頃、芸能界で仕事をしていた私の、ゴシップのひとつとして週刊誌が戸籍謄本を「出生の秘密」と題して掲載したのである。
事実を知らされても、私は驚かなかった。
そうだったからといって、母に対する気持ちも、自分が現在生きているということに対しても、何も変わりはなかった。
(・_・)
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午後12時27分、ゴングが鳴った。
第1ラウンド、最初にパンチを当てたのは挑戦者ダグラスだった。
2分過ぎに左ジャブがタイソンの顔面をとらえた。
鈍い音がした。
タイソンの全てが緩んで見えた。
肉体も、スピードも、オーラも。
かつてない姿だった。
「おい、タイソンやべえぞ…」
( ・_・)
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☆・_・)
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スーパーヘビー級とはいえ、挑戦者からの挨拶程度のジャブでバランスを崩されるタイソン
調整が上手くいかなかった
能力は高いが、あきらかな仕上がり不十分
(・皿・)(・皿・ ) やべえよ、やべえよ。タイソンやべえよ
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あっ、どうも。
ヽ(ヽ・皿・)(・皿・ )
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うむ、セカンドラウンドはオランダ、キュウバ、イスラエルか⁉︎
愉しみだ。
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えっ、アメリカラウンドは2試合で終わり
(・_・)ノ
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朴正煕大統領、金鐘泌初代KCIA長官は、キム・イルに対し、プロレス人気を回復させるよう厳命した。
韓国のプロレス人気が衰退してもらっては困る。
キム・イルを呼び寄せたのは、韓国の力道山になってもらうためだ。
キム・イルには韓国の力道山として、国民が抱く独裁者・朴正煕への反発心を、韓国への愛国心に転換してもらわなくてはならないのだ。
67年4月29日、キム・イルのこれまでの努力が実るときがやってきた。
WWA世界ヘビー級チャンピオン、マーク・ルーインに挑戦する機会を得たのである。
韓国初の世界タイトルマッチは、プロレスを完全にショーとみなすインテリ層を除く、大多数の国民の関心を集めた。
この試合が、力道山襲名を賭けた韓国プロレス界初のプロレス世界選手権試合であると宣伝されていたからだ。
(・_・)
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『ロッキー』
1976年/ジョン・G・アヴィルドセン
アメリカは常に勝者だけを賞賛してきた。
アメリカ映画はヒーローだけを描いてきた。
ジョン・ウェインはいつも強くて、絶対に負けない。アメリカはいつも正しくて、絶対に負けない。
アメリカ人はそう信じてきた。
「ヒーローなんて、正義の味方なんて、みんな嘘っぱちだ」
そう告発したのがカウンター・カルチャーであり、「ニューシネマ」だった。
ジョン・ウェインに撃ち倒されるインディアンは被害者だった。
アメリカは原住民や黒人奴隷を踏みにじって発展してきた。
ベトナムでは女子供を殺し、しかも、負けている。
かくして、体制に反逆するアンチ・ヒーローたちがスクリーンを暴れ回った。
しかし、決して勝てはしない。
ハッピーエンドもまた、ハリウッド映画の「嘘」だから。
彼らは惨めに滅んでいく。
(・_・)
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津江章二はリング下に設置された記者席の一番端に座っていた。
第2ラウンド、動きの緩慢なタイソンがダグラスの右をもらった。
王者の顔面が歪んだ。
「あんなにパンチをもらうタイソンを見たのは、初めてでした」
共同通信社運動部に入って19年、ほとんどの世界戦を見てきたベテラン記者は胸騒ぎを覚えていた。
津江は普段、小説を一切読まない。
ひたすら「事実」を追いたくて記者になった。
80年代後半のある日、暇ネタを探していたデスクに聞かれた。
「なんか、海外ボクシングの話題ないか?」
「このマイク・タイソンっていう選手どうですか?」
(・皿・)
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