001 病室には妹の苦しそうな吐息と心拍計の電子音だけが響いている。 妹の白い顔は時折苦しげに眉をゆがめるが、それ以外は至って静穏なものだ。 とても、医者がさじを投げた患者には見えない。 なんで、俺じゃなくて妹なんだ。まだ中学生じゃないか。あんまりだ。 「お兄ちゃん……」 いつもの祈りとも呪詛ともつかない思いが終わる前に、妹が静に口を開いた。 「……なんだ?」 「わたし、飛行機が見たいよ。」 飛行機どころか、この1年外にだって出られていないのに。 「飛行機か。……どんなのが見たいんだ?」 「うん。」 ちょっと考え込んだ妹は、儚げに笑ってこう答えた。 「……2ゲットしたいよ。」 亡き妹に代わって涙の2ゲット! 匿名さん2015/06/02 17:581