9月中旬、大阪の万博が閉幕して、しばらくたったころ、宏池会の事務局次長をしていた木村貢がきて、「前尾出馬につき意思統一が行われた」ことを伝えてくれた。若手の大平系は前尾の立候補に反発した。〈前尾では勝てない。大平にしろ〉というのが本音だが、表面立ってはいえないので「前尾には失望している」「この人で天下はとれぬとあきらめている」などの意見が噴出し、幹部はこれをなだめているありさまだった。中には「前尾は玉砕覚悟で立候補せよ」の意見もあったが、結局、出馬の扱いについては前尾に一任することになった。

9月中旬、大阪の万博が閉幕して、しばらくたったころ、宏池会の事務局次長をしていた木村貢がきて、「前尾出馬につき意思統一が行われた」ことを伝えてくれた。若手の大平系は前尾の立候補に反発した。〈前尾では勝てない。大平にしろ〉というのが本音だが、表面立ってはいえないので「前尾には失望している」「この人で天下はとれぬとあきらめている」などの意見が噴出し、幹部はこれをなだめているありさまだった。中には「前尾は玉砕覚悟で立候補せよ」の意見もあったが、結局、出馬の扱いについては前尾に一任することになった。

いいづらそうに、口ごもりながら、前尾繁三郎は切り出した。
「……総裁公選の件なんだがね。一度は、僕も出馬を決意して、君たちにも動いてもらった……が、しかし……」
そこで、いったん前尾は言葉を切った。わざわざこの宏池会事務所に、大平正芳、鈴木善幸を呼んでのことであった。前尾は二人の顔から眼をそらして、視線をやや下に落としながら話した。
「今回の場合、ぼくは出馬を取り止めたい……」
具合悪げな、何とも歯切れのわるい語調であった。これまで、前尾擁立から出馬準備へと作戦をすすめ、行動を続けてきた大平は、日ごろもそう愛想いいとはいえない面を、憮然とさせた。温厚な鈴木も、面白くないといった表情を示した。
― 前尾は腰くだけ……か。腑甲斐ない人だ。
前尾は、その巨軀をことさらちぢませるような形で、釈明を始めた。
「ぼくがだね、公選出馬を決意したのは、佐藤総理が四選には出ない、三期で引退する……と判断したからなんだ。君たちも、そういっていたろう？それなら、あるいは勝てると、ぼくは決心したんだが、状況が変わってきた。川島副総裁が中間派をまとめて佐藤四選に踏み切ってしまった。佐藤総理もその気になった」

いいづらそうに、口ごもりながら、前尾繁三郎は切り出した。
「……総裁公選の件なんだがね。一度は、僕も出馬を決意して、君たちにも動いてもらった……が、しかし……」
そこで、いったん前尾は言葉を切った。わざわざこの宏池会事務所に、大平正芳、鈴木善幸を呼んでのことであった。前尾は二人の顔から眼をそらして、視線をやや下に落としながら話した。
「今回の場合、ぼくは出馬を取り止めたい……」
具合悪げな、何とも歯切れのわるい語調であった。これまで、前尾擁立から出馬準備へと作戦をすすめ、行動を続けてきた大平は、日ごろもそう愛想いいとはいえない面を、憮然とさせた。温厚な鈴木も、面白くないといった表情を示した。
― 前尾は腰くだけ……か。腑甲斐ない人だ。
前尾は、その巨軀をことさらちぢませるような形で、釈明を始めた。
「ぼくがだね、公選出馬を決意したのは、佐藤総理が四選には出ない、三期で引退する……と判断したからなんだ。君たちも、そういっていたろう？それなら、あるいは勝てると、ぼくは決心したんだが、状況が変わってきた。川島副総裁が中間派をまとめて佐藤四選に踏み切ってしまった。佐藤総理もその気になった」

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馬鹿チョン婆主は糞スレ立てんな！

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